中国の万年筆
漢字の国の中国は、一般的に、細字で漢字が書き易いものが多いと理解される事が多いようですが、これは一概には言えません。
歴史的にも欧米モデルを手本とした万年筆が多いと考えたほうが自然です。
中国のメーカーはー、欧米や日本のメーカーと異なり、1つのモデルに複数のペン先サイズを用意する事は、けして多くはありません。
多くの万年筆のペン先が1種類のみで、通常、FまたはM程度のペン先を持っています。
また、逆にB(太字)以上のペン先を持つ万年筆も見かけません。
英雄や公爵と言ったメーカーは、比較的、細字タイプの万年筆が揃っていますが、日本の万年筆のような細字タイプは、実用的で廉価な製品に多いと言えます。
例えば、小さな字で数字を書くことが多い、会計帳簿用の万年筆がこれにあたります。
中国メーカーの万年筆の特徴は、安価なわりに見栄えが良いものが多いという点が上げられると思います。勿論、見栄えだけでなく、きちんと書けるものが大半です。
個体差や多少書き味が悪いものもありますが、これは欧米や日本のメーカーにも見られる事です。
その他に中国メーカーの万年筆の特徴としては、「美工筆」の存在が上げられます。「美工筆」は、「鋼筆画」と呼ばれる絵画で使われる万年筆で、ペン先が上に曲がっており、細い線から太い線まで1本で書けるように工夫されています。
中国の万年筆メーカー
代表的な中国の万年筆メーカーをご紹介します。
中国の万年筆メーカーは、上海に集中しています。
1931年に創業した国営の老舗メーカー。中国最大手の万年筆メーカでもあります。
イギリスの筆記具メーカー「パーカー」の上海工場の機材を接収し、製造をはじめたため、パーカーの万年筆を真似たものが多いことで有名で、一時期、日本にも相当数輸入され、価格の安さから人気が高かったようです。
しかし、現在は、殆ど日本国内へは輸入されていません。
比較的、細字のものが多く、日本語も書き易く、書き味も良いですが、インクフローがやや過剰な傾向もあります。
数百円の非常に安価な万年筆から高価なものまで幅広い製品を製造しており、デザインは、保守的で伝統的なスタイルのものが中心ですが、豪華で派手な中国らしいデザインのものも存在します。
製品数を把握するのが難しいほど多岐に渡るのでコレクター泣かせのブランドです。
本拠地にあたる「上海英雄」の他、「麗水英雄」、「温州華立英雄」、「温州華立英雄」、「英雄上海格林」、「英雄義烏」と言った拠点でも筆記具を製造しているようです。
英雄の公式サイト
※メーカーサイトは、http://www.hero1931.com.cnは、インターネットセキュリティソフトウェアで問題を検出する事が多く、セキュリティ上の問題から販売会社のページを公式サイトとして掲載しました。
「公爵」ブランドを展開する「上海金皇冠金筆」は、1988年に創業した比較的新しい筆記具メーカーです。
歴史は浅いですが、中国を訪れた海外の要人に贈られる万年筆「国礼筆」の製造を委託されるなど、既に一定の地位を確立しています。
「国礼筆」は、限定品と言う形で販売される事もあるので、要チェックです。
製造する筆記具は、比較的高価なものが中心で、ドイツに法人がある関係からドイツブランドを名乗る事が多いですが、製造は中国ですし、販売の中心も中国国内ですので、実際のところ、ドイツとはあまり関係はありません。
英雄と比較すると垢抜けたデザインのものが多く、ブラス製のラッカー仕上げのタイプを得意としますが、レジンや竹を使用した万年筆も製造しています。
英雄同様に、製品の数が非常に多いので、コレクター泣かせのブランドでもあります。
書き味は優秀で、英雄ほどインクフローが過剰ではないので使い易いですが、ペン先がやや硬い傾向がありますね。
「上海金皇冠金筆」は、「公爵(DUKE)」ブランドの他に「KING CROWN(通称、英国老K)」という筆記具ブランドも展開しています。
公爵の公式サイト
2002年頃に誕生したブランドのようですが、正確な設立時期は不明。
実は、同ブランドの発売元は、2社存在しており、基本的なデザインは共通ですが、ペン先の刻印やクリップの刻印などが細部が異なるものを提供しているため少し複雑です。
製造しているモデル数自体は、それほどではないですが、比較的、高価なものが中心となっていますね。
シンプルながら鮮やかな軸色のものが多く、他の中国メーカーとは一線を画したデザインが特徴で、ヨーロッパ製のペン先を採用しているモデルも多く、ブランドの歴史は浅いながら、確りした筆記具を展開するブランドでもあります。
中国的なものが感じられない面白味のないブランドとも言えますが、欧米メーカーと比較しても遜色ない斬新で美しいデザインの万年筆ですので、特に、女性の方にオススメしたいですね。
フランス製のペン先を採用したモデルが多いためか、書き味は、かなり良く、インクフローも良好です。
しかし、残念なことに、同社の万年筆は、M(中字)のものが多く、F(細字)以下のものが殆ど無いので、用途が限られる傾向があります。
どういう訳か、フランスブランドと称される事が多いですが、中国で製造され、販売の中心も中国国内ですので、基本的に中国ブランドです。
ピカソ(上海「巾へんに白」弗洛文化用品)の公式サイト
ピカソ(「上海藝想文化用品)の公式サイト
中国の万年筆
中国の珍しい万年筆や関連グッズを紹介します。
美工筆
「美工筆(MeiGongBi)」とは、中国の絵画ジャンルの1つで、万年筆を使用して描かれる「鋼筆画」のための万年筆です。
ペン先の穂先部分が、上に反り返った独特の形状になっており、ペンを立てて書けば、極細の線が引け、寝かせて書けば、超極太の線が引けるようになっています。
また、寝かせて書いた場合は、縦線よりも横線がが、やや太くなる傾向があります。
最近は、日本でも同様の形状のペン先を持つ万年筆がありますが、「美工筆」がルーツでしょう。
基本は絵画用ですが、これで、文字を書いても面白いと思います。
寝かせて書くと横線が太くなりますので、明朝体とは、また違った趣の文字になりますね。
